【各国大使館/公的機関 スペシャルインタビューシリーズ】西オーストラリア州政府
大使館/公的機関スペシャルインタビューの第11回は、豪州・西オーストラリア州をお送りします。
西オーストラリア州政府 駐日代表部の遠山桃子さんにお話を伺いました。
JACSAC(以下、J):西オーストラリア州と聞いて私たちが一番に思い浮かぶのは州都パースです。
今日はパースをはじめとする西オーストラリア州への留学について教えてください。
まず、どのくらいの数の留学生が学んでいるかを教えて頂けますか?
西オーストラリア州政府(以下、WA):はい。
2018年6月現在、学生ビザ発給数ベースで
148の国から53,897人の留学生が学びに来ています。
これはオーストラリア全体の留学生のうち約6%に当たります。
留学生数ランキングで言うと
1位 中国
2位 インド
3位 マレーシア
4位 ブラジル
5位 香港
6位 ベトナム
7位 ブータン
8位 台湾
9位 シンガポール
10位 日本
といった順になっています。
7位に入っているブータンが昨年から急上昇しています。
背景としては、国の施策として奨学金を支給し留学生を増やす支援が行われていることがあります。
日本単体では昨年16位から10位へ浮上しました。
パースでは留学生のうち6.4%が日本人という割合です。
なお、この統計は学生ビザを持つ人だけを集計したものです。
学生ビザを持たない短期留学なども含めると
日本の順位は上がってくるとみられています。
J:人気の学習分野は何ですか?
WA:2018年3月の統計で、日本の1位は語学(ELOCOS)で36%。
2位に来るのがNon-Award(短期、エクスチェンジなど学位や単位取得を目的としない留学)で34%です。
次に専門留学(Vocational)の26%、
そして大学・大学院の3%、
スクールセクター(中学・高校)の1%と続きます。
この中で伸びを見せているのがスクールセクターです。
他の学習分野と比べると数としてはまだ少ないですが
伸び率でみると前年度比22%の上昇です。
他に上昇しているのはNon-Awardの11%と
専門留学の10%です。
このなかで注目していただきたいのが専門留学の伸びです。
専門留学の伸びをけん引するのはTAFEですが
その要因は大学への編入ルートとして
TAFEが認知されてきたことに関係があります。
TAFEを経由すれば
大学に直接入学するよりも入りやすい英語力要件で入学でき
学費も大学授業料の半分近くに抑えられ、資格もとれます。
州政府管轄の教育機関で
豪州全土にあることも安心感につながっています。
6月に行われたJASSOの留学フェア会場でも
このパターンで問い合わせしてくる人が多く、正直、驚きました。
以前なら、こういった編入ルートについては
ゼロから解説しなければならないケースが圧倒的だったのですが
最近は既に知っている人が目立っています。
留学エージェントさんもそのように案内してくださるようになりましたし
間もなく大学留学生数に数として反映されてくるのではないでしょうか。
J:大学編入ルートとしてのTAFEの活用は、
西オーストラリア州政府として推奨していきたいと考えていますか?
州政府の全体の方針と合わせて教えてください。
WA:はい。
まず、まさに今話題にのぼった
高等教育機関への留学パスウェイとしてのTAFEの存在周知は
今までもこれからも取り組んでいこうと思っていることです。
駐日代表部では、高校の進路指導を担当される先生を対象に
大学進学に関するセミナーを行ってきており
今後も積極的に行っていく予定です。
海外大学進学について知りたいとお考えの高校の方、
先生方がいらっしゃったらお気軽にお問合せください。
セミナーという点では
エージェントさん向けセミナーも開催したいと考えています。
さらに10月には、オーストラリア留学フェアに
西オーストラリア州から複数の機関・団体が出展します。
実はパース市内には来年
留学生専用のレジデンシャル施設がオープン予定でして
大変注目されています。
この担当者も留学フェアに来場する予定なので
関心をお持ちの大学や高校のご関係者様や留学エージェントの皆さまも
お会いになってみてください。
そして、ひとつ注目して見守っていただきたいのが
パース直行便の就航予定です。
以前就航していた成田―パース間直行便は
東日本大震災後に運休となりましたが
2020年に向けて、今度はより利便性の高い羽田発で
再び就航の可能性が出ています。
J:短期留学や中高生の留学が活発になっているなか
羽田―パースの直行便が実現したら朗報ですね。
さて、やはり留学カウンセラーにとって一番知りたいことは
オーストラリアの他の地域と西オーストラリア州の違いは
どんなところにあるのか、という点です。
ぜひ教えて頂けますか?
WA:まず、西オーストラリア州の財政が大変豊かであり
留学生支援策や雇用機会に
豊富な予算を投入している点が挙げられます。
西オーストラリア州の土地面積はオーストラリアの中で最も大きく
その広大な地から得られる天然ガスや鉄鉱石といった主要産業は
オーストラリア経済をけん引しています。
学生ビザを持つ留学生は、オーストラリアのどこでも
合法的にアルバイトができますが
西オーストラリア州はその好調な経済のおかげで
大変雇用機会が多い土地です。
パースでは過去2年間に
100以上ものレストランやカフェ等がオープンしています。
さらに、賃金水準も高く
平均時給19.7ドルはオーストラリアのなかで一番高水準となっています。
土日祝日はこの1.5?2倍が支払われます。
西オーストラリア大学に留学していたある男子学生は
実際に、アルバイト代で生活費すべてを賄っていました。
家族からの支援は学費だけです。
もちろん学生個人の暮らしぶりや勉強の忙しさによって事情は異なりますが
彼のように、自炊し、ルームシェアを主体としながら
ときどきパブへ出かけて息抜きをする・・・といった留学生活を送るのなら
アルバイトで生活費を賄うことが十分可能な留学先だと言えます。
州による留学生支援策として
もう一つ挙げられるのが
地元の学生と同じ条件での学割を提供していることです。
留学生には限定的な地域が多い中
西オーストラリア州では学生ビザさえとっていれば
語学学校だろうと大学だろうと
どんな教育機関に属する留学生でも地元の学生と同じだけの学割がもらえます。
これが、生活費を安く抑えられる要因のひとつともとなっています。
J:留学生が豊かな州の財政の恩恵を受けている具体的なお話ですね。
州からの支援のほかに、あげられる点は何ですか?
WA:日本との時差がたった一時間であるというのも特長です。
地味に思えるかもしれませんが
長い目で見るととてもメリットの大きいことです。
夏時間制度もありませんので一年を通して一時間です。
また、オーストラリアの中で一番日照時間が長いのも
西オーストラリア州の特筆すべきところでしょう。
天候が良いことは、留学生のモチベーションを高め、
明るく留学生活を送るもととなっています。
J:留学先としての西オーストラリア州には
知られざる多彩な魅力があるのですね。
これからも注目していきたいと思います。
本日はありがとうございました。